こんにちは。国語の田中です。
久しぶりに更新します。
今日は入試問題第2弾、「神戸大学」についてお話ししようと思います。
神戸大学の国語の問題は、今年も形式は例年通りでした。
出典は、1:現代文・市村弘正「標識としての記録」、2:古文・平治物語、3:漢文(経営学部除く)・林嗣環「秋声詩 自叙」。
所感を述べると、現代文は相変わらずかなり難しいです。
それに対して今年の古文、漢文はかなり簡単な印象を受けました。
現代文は、まず本文の文章量が例年より500字程度増えました。
素早く理解し、読み進める読解能力が試されています。
ただ本文の内容は、比較的分かりやすかったのではないかと思います。
水俣病患者の甘夏生産の失敗を撮った映画について論じ、水俣病患者だからこそ失敗を否定し放逐するのではなく、人間に本来的にあり得ることとして包み込み、失敗を通して人々の関係を組み直していくという過程をたどっていったことへの感動・重要性を論じた文章です。
神大の大きな特徴でもありますが、神大は部分部分について説明を求める問題と同時に、全体の要旨をまとめさせる問題を頻繁に出題します。
これは現代文も古典も同じです。
ゆえに神大の国語の問題は、非常にバランスのとれた良問が多くなっているのですが、全体の要旨をまとめさせる問題が、とても難しい。
特に普段から文章全体をまとめる練習をしていない受験生は、何をどう書いていいのか、とまどってしまいがちです。
今年の現代文の問題も、先ほど述べた文章全体の内容を、さらに突っ込んで160字でまとめるという問題が、問五で出題されました。
神大受験を考えている高校生のみなさん、その点をよく考えて普段の勉強に取り組むべきです。
たとえば現代文の問題で文章を読む際、「常に要旨を書く練習をしてみる」「常に段落ごとにまとめてタイトルを付ける練習をしてみる」などを、意識してやってみるといいと思います。
一方古文・漢文は、かなり読みやすく、書きやすい問題だったと思います。
古文は常葉御前が平清盛に息子たちの命乞いをする、超有名場面でしたので、特に歴史好きの受験生はほとんど文章を読まなくても場面が浮かんだのではないでしょうか(笑)。
漢文も、例年白文をひらがなで書き下す問題が難しいのですが、今年は再読文字「応」を使った分かりやすい文が問題になっていたので、特に句形をちゃんと勉強していた人は書きやすかったと思います。
今年の問題を総括すれば、現代文がどれぐらい書けるかが、勝負の分かれ目になったと思われます。
最後に、生意気ですが一予備校講師として神大に苦言を。
今年、神大は現代文で訂正を出しました。
試験中に黒板に訂正が書かれたのですが、正直設問を解く上では大差ない訂正でした。
しかし受験生の中から、「訂正で書かれた黒板の文字が見えない」などで動揺した、という声をいくつか聞きました。
受験生は、この日のために1年間頑張ってきたのです。
できるだけ集中して問題に向かわせてあげてほしいと、切に思います。
ではまた。