国語学習法

古文

古文の読解力をつけるために必要なことは5つあります。

1:単語学習
2:文法学習
3:長文読解練習
4:古文常識学習
5:古文文学史学習

順番にご説明します。

1:単語学習

古文の文章を読解する上で絶対に必要な力が、「単語力」です。もちろん文章に書かれている単語すべてが分かればいいのですが、それらを全部覚えるのは当然無理です。そこで、まず頻出の単語を覚えていき、それ以外の単語は分かっている単語から推測していくことになります。したがって頻出単語は事前に市販の単語帳などを使って覚えていきます。

では単語のお勧め学習法をお話しましょう。

①毎日単語帳を見る!
→毎日やらないと、せっかく覚えてもどんどん忘れていきます。

②「短時間/少量」でやる!
→毎日やるためには必須。「15分/10個」が目安。

③テストをする!
→口頭で構わないので、誰かにテストをしてもらう。反射的に意味が出るようにしていなければ、文章で出てきたときにも対応できません。

④必ず毎回「1~」やる!
→毎日10個ずつ覚えていくとすれば、まず「1~10」、次の日は「1~20」、また次の日は「1~30」というように、必ず「1~」やるようにします。そうしないと、最初の方にやった単語を忘れてしまいます。

⑤ご褒美や罰を作る!
→テストで全問正解したらアイスを食べていい、などご褒美を作ったり、逆に2問間違えたら風呂掃除、のように罰をつくると、毎日頑張ろうという気持ちになります。

次に、お勧めの単語帳をご紹介しましょう。

「重要古文単語315」(桐原書店)
○語源から説明されており、単語が頭に入りやすいです。
○イラスト入りで見やすい構成になっています。
○難関国公立・私立大を受験する生徒には、少し単語量が足りないような気がすると思いますが、巻末に「慣用句」が載っていたり、「関連語句」が詳細に載っていますので、それを合わせて覚えていくと十分足ります。
「コゴタロウ古文単語300〈私大&二次用〉」(河合出版)
○各単語ごとに、入試で実際に出題された問題が載せられていますので、問題を解きながら覚えられます。

最後に、単語学習のコツをお話します。

よく古文単語は英単語と同じように覚える、という人を見かけます。
しかし、そもそも日本語は、主に語源から意味を連想させて広げていくという言語的成り立ちをしており、意味を丸暗記するという覚え方には不向きな言語です。
したがって古文単語を覚えるときには、その単語の成り立ちに乗って覚えていくことがコツです。

たとえば「ののしる」は、
①大声で騒ぐ ②評判になる/噂される の2つの意味を持っていますが、
これを丸暗記するとやはり忘れてしまいます。

「ののしる」は、もともと「のの」が「大きな音が反響してこだまする音」が「のーん、のーん」と聞こえたところから始まっています。そこから「大声で騒ぐ」と意味が出てきて、世間の人が大声で騒ぐところから「評判になる」という意味が生まれたのです。だとすれば、私たちが覚えるときもこの成り立ちに乗って覚えていくとよい、ということです。

2:文法学習

文法として絶対必要な項目は7つあります。

1:歴史的仮名遣い・品詞・活用形
2:動詞・形容詞・形容動詞(用言)
3:助動詞・助詞(付属語)
4:敬語
5:識別(「ぬ・ね」「なむ」「なり」「に」など)

ここまでマスターすれば、とりあえず文法問題に困ることはなくなりますし、文章を読むときにも手助けになっていくことでしょう。

文法のお勧め問題集もご紹介します。

「ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル」(河合出版)
○見開き2ページで1つの項目が学習できるように編集されており、非常に見やすいです。
○解答が詳細に書かれてるので、疑問が残りにくいです。

3:長文読解練習

長文読解練習は、単語・文法の学習と同時並行で行っていくことで効果があります。

長文読解練習のポイントをお話ししましょう。

① 最初に20~30分、時間を計って何も見ないで問題を解きます(設問もすべてやります)。

② 次に30~40分程度使って、文章の分からなかった部分を辞書や単語帳を利用しながら読み直します。
その際、分からない単語や文法事項を手当たり次第に調べることをすると、時間がかかり過ぎる上に、あまり学習効果が上がりません。

たとえば2~3行分からない部分が出てきたら、その中から「この単語が分かれば文章が読めそう…」と思われる単語を4つぐらい絞って調べ、それ以外の単語は分かった部分から想像して読みます。分かる部分から分からない部分を想像して読む力、それが「読解力」なのです。何でもかんでも調べてしまっては、「読解力」を身に着ける余地が無くなってしまうのです。

③ その後、解答を見ます。間違えた設問を見直すと同時に、分からなかった部分の訳を見て、自分の考えた訳が合っているかどうか確認します。

長文のお勧め問題集をご紹介します。

[基礎編]
「実践演習 基礎古文」(桐原出版)
○本当に基本となる長文が問題になっているので、古文を勉強し始めたみなさんでもとっつきやすい問題集です。
○30題入っていますので、値段の割にはお得です。
「古文上達」(Z会出版)
○大きく三部構成になっています。第二部が短い文章問題になっていますので、古文初心者はそこから始めるとよいと思います。
[中級編]
「中堅私大古文演習」(河合出版)
○国公立志望者、関関同立志望者が最初にやる問題集としてお勧めです。
○産近甲龍志望者、女子大志望者で、古文が苦手な受験生は、基礎編から始めて二冊目の長文問題集としてお勧めです。
○とにかく解答や現代語訳がきちんとしており、疑問が残りにくいです。
「実践演習 標準古文」(桐原書店)
○基礎編の「実践演習 基礎古文」を行い、そのまま次のレベルの長文問題集へ進みたいという人にお勧めです。
[上級編]
「入試精選問題集 古文」(河合出版)
○国公立用の記述問題から私立用の記号問題まで、幅広く良問を扱っています。
○文章もかなり難しい問題が多く、古文の学習が進んだ人には歯ごたえがあり、読解力を飛躍的に伸ばすことが可能です。
「最強の古文」(Z会出版)
○とにかく長文問題が多いです。お得です。
○ジャンルごとに長文問題が分けられているので(「日記」「随筆」など)、自分の勉強したいジャンルを集中的に行うことができます。
「得点ダッシュ 古文 記述対策」(河合出版)
○国公立の記述対策用の問題集として、最良の問題集です。
○解答解説が非常に細かく、分かりやすく作られており、どういうことをどのように書けば点がもらえるのかが明示されています。
[センター編]
「マーク式基礎問題集 古文」(河合出版)
「センター・マーク標準問題集 古文」(代々木ライブラリー)
○センター試験でのみ古文が必要という方に最適。
○過去問が難しく感じる方は、まずこれらの問題集をやることをお勧めします。

4:古文常識学習

古文を読解するうえで重要なのは、もちろん単語や文法ですが、古文の世界でしか使われない常識も、当然知らなければ文章は読めません。

たとえば、方角を表す言葉や時刻を表す言葉などは、古典の世界独特のものです。したがって覚えていくべきですが、やることの優先順位は、まず単語と文法です。ですから、単語・文法をきちんと覚えたうえで、さらに余裕があればやりましょう。ネクスタの授業の中では、1年間かけて細大漏らさず伝授していきます。

常識のお勧め問題集をご紹介します。

「速読古文常識」(Z会出版)
「マドンナ古文常識217」

○どちらも比較的コンパクトにまとめられていて、一気に覚えるのにはよいかと思います。

5:古文文学史学習

古文文学史は、近年センター試験でも多く問われるようになっています。
私立大学・国公立二次試験でも当然問われますので、準備しておく必要があります。また文学史の細かい知識を知っておくことが、文章内容を把握するうえでも重要になることがあります(たとえば「落窪物語」は継母が継子をいじめる話だ、と知っているだけでも、文章読解に生かせる場合があるのです)。

文学史のお勧め問題集をご紹介します。

「日本文学史」(河合出版)
○古典だけでなく現代文の文学史も含んでいます。解説と設問がセットになっているので、設問を解くことで知識が深まるようになっています。

現代文

現代文の読解力をつけるために必要なことは2つあります。
1:語彙(ごい)・漢字学習 2:長文読解練習
順番にご説明します。

1:語彙(ごい)・漢字学習

語彙・漢字を覚えることは、まず現代文を読む大前提です。
語彙・漢字を覚えないまま文章を読むのは、英単語を知らないまま英文を読むのと同じです。

しかし、語彙・漢字は子供の時から今までの学習量が物を言います。たとえば小学生から高校生までの間に本など一冊も読んだことがない、という人と、嫌になる程読んできた人では、当然語彙・漢字の力は雲泥の差です。

では、全然語彙・漢字力がない人はどうすればいいのか。
今からでも覚えるしかない。それだけです。
ただ効率よくやる必要があります。

現代文の評論文で出やすい語彙・漢字を問題集などで、まず必要最小限覚えていくことが大切です。

では語彙・漢字のお勧め学習法をお話しましょう。
基本は古文単語の学習法と同じです。

①毎日語彙・漢字の問題集をやる!
→毎日やらないと、身にはつきません。

②「短時間/少量」でやる!
→毎日やるためには必須。「15分/4ページ」が目安。

③テストをする!
→口頭で構わないので、誰かにテストをしてもらう。
反射的に意味が出るようにしていなければ、文章で出てきたときにも対応できません。

④必ず毎回前日の復習からやる!
→前にやった語彙・漢字を忘れてしまっては、意味がありません。

⑤ご褒美や罰を作る!
→テストで全問正解したらアイスを食べていい、などご褒美を作ったり、逆に2問間違えたら風呂掃除、のように罰をつくると、毎日頑張ろうという気持ちになります。

次に、お勧めの語彙・漢字問題集をご紹介しましょう。

「銀の漢字(必修編)」(水王舎)
○書き取り・読み・語彙問題(同音異義語や四字熟語など)・確認テストの四部構成。さらにA問題~C問題にレベル分けされています。基本から問題が作成されていますので、語彙・漢字力に全く自信の無い方でも大丈夫だと思います。
「入試漢字マスター1800+」(河合出版)
○「銀の漢字」と構成は似ているが、加えてセンター対策が入っている。こちらも基本から学べるので、自信の無い人でも安心。

2:長文読解練習

古文と同じく現代文も、語彙・漢字を覚えていくことと長文読解を同時並行で行うことが重要です。

現代文の長文読解のポイントをお話ししましょう。

①最初に20~30分、時間を計って何も見ないで問題を解きます(設問もすべてやります)。

②次に30~40分程度使って、文章の分からなかった部分を考え直します。
その際、対比関係や接続詞などに注意しながら(場合によっては図や絵を描きながら),自分なりの解釈を考えます。
間違っていても構いません。自分なりに必死で考えることが大事なのです。

③その後、解答を見ます。間違えた設問を見直すと同時に、分からなかった部分の解説を見て、自分の考えが合っているかどうか確認します。

長文のお勧め問題集をご紹介します。

[基礎~中級編]
「入試現代文へのアクセス」(河合出版)
○言わずとしれた、現代文の最良問題集。
○とにかく説明が分かりやすく、問題文から解答への導き方が自然で納得しやすいです。
○語彙の説明などもきちんとされている。
○真剣に取り組めば、現代文の基礎的な読み方、設問の解き方がマスターできます。
・中堅私大、センターを受験する方にお勧め。
・難関国公立大、難関私大を受験者で、基本を固めたい方にお勧め。
「ダイアグラム 標準入試現代文」(桐原書店)
○問題は私立大用に作られています。
○解説が、独特のダイアグラムで図示化されていて見やすいです。
○解答への導き方は少し分かりにくいかも。
○問題は良問が多く、中堅私大志望者にはうってつけの問題集です。
・中堅私大受験者にお勧め。
「入試現代文へのアクセス(発展編)」(河合出版)
○「入試現代文へのアクセス」の、次の問題集として作られています。
○ステップ1、ステップ2に分かれており、ステップ1で典型的な問題を扱い、ステップ2で応用問題へと進めるようになっています。
・難関国公立大、難関私大受験者で、まだ過去問が難しく感じる方にお勧め。
[上級編]
「現代文と格闘する」(河合出版)
○現代文の難問を中心に、記述問題も含めた問題が並んでいます。
○1問に時間をかけてじっくり取り組むことで、飛躍的に現代文読解力を上げることが可能です。
○相当難しいです。
・難関国公立大、難関私大受験者で、現代文で大きく点を稼ぎたい方にお勧め。
「得点ダッシュ 現代文 記述・論述対策」(河合出版)
○タイトル通り、記述対策に特化した問題集です。
○解答の採点基準が詳細に示されており、極めて分かりやすいです。
・難関国公立大受験者は、過去問の前にぜひやるべき。

漢文

漢文の読解力をつけるために必要なことは3つあります。
1:漢字学習 2:句形学習 3:長文読解練習

1:漢字学習については、特別に参考書などを勉強する必要はないと思います(と  いうか、漢文用の漢字参考書は、ほとんど販売されていません)。

2:句形学習については、学校で配布される副教材などを使うのが良いと思います。

ただし漢文の場合は、1:漢字学習も2:句形学習も、3:長文読解練習をやりつつ、その中で学習していく方が効率がいいです。

3:長文読解練習についてですが、やり方は古文と同じです。古文の欄をご参照ください。

長文のお勧め問題集をご紹介します。

「マーク式基礎問題集 漢文」(河合出版)
○センター試験でのみ漢文が必要な方の入門問題集。
○基本的な問題が多く、漢文を読み慣れていない方の練習に最適です。
「漢文道場」(Z会出版)
○国公立二次や私立で漢文の記述問題がある方が、基本からやる問題集としてお勧めです。
「最強の漢文」(Z会出版)
○「漢文道場」の発展問題集です。
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